耐震性
地震動レベルとは?
地震動(地震によって発生する揺れ)の大きさは、マグニチュードや震度、加速度(ガル)、速度(カイン)など様々な尺度で数値化できます。地震動レベルは土木構造物の耐震性能を評価する際に使われる基準で、速度を目安に「地震動レベル1」と「地震動レベル2」の2段階に分けられています。
〈地震動レベル1〉土木建築物の耐用年数のうちに1回発生することが推測される程度の地震動です。厳密な数値が定められているわけではないですが、一般的には25カイン程度の中地震を指します。 |
〈地震動レベル2〉土木建築物が、将来遭遇するかもしれない最大の強さの地震動を指します。当該の場所で過去に発生した記録はないものの、万が一発生すれば甚大な被害をもたらす程度の大地震であり、50カイン程度を想定しています。 |
地震動における継手部の抜け、屈曲に対しても安全
継手は伸縮・可とう性、およびゴム製ガスケットによる接合で離脱防止性能を有しているため、地震による大きな地盤歪み、継手部の屈曲が発生しても安全性を保ちます。
地盤歪みに柔軟に追従する可とう性
継手と管本体ともに伸縮・可とう性を有するため、軟弱地盤における不同沈下及び地震による地盤歪みに対応できます。また、一体構造管路においても、管の柔軟性が高いので地盤変動に追従します。 |
高土被りに耐える強靭な管材
ポリエチレン管に外圧を加え、たわみ率50%の形状変形をしても、座屈をおこしません。大きな外圧がかかる場面でも使用できます。
偏平試験
試験:たわみ・偏平試験 |
地震に強いポリエチレン管
ポリエチレン管は衝撃に強く、可とう性があるので地震による地層のずれや地盤沈下に追従して屈曲するため、災害時でも折れたり破損したりしにくい管です。2011年3月の東日本大震災、2014年11月の長野県神城断層地震、2016年4月の熊本地震では配水管の管路被害が相次ぎましたが、ポリエチレン管の被害はほぼゼロという状況でした。
東日本大震災の管路被害
広い範囲に甚大な被害をもたらした東日本大震災のなかでも、軟弱地盤の為、ほかの被災地よりも管路被害が多かった宮城県大崎の状況です。大崎市全体では管路被害は134件ありましたが、水道配水用ポリエチレン管の被害は1件だけでした。
管種 | 管路延長(km) | 被害箇所数 | 被害率 |
---|---|---|---|
石綿セメント管(ACP) | 23.2 | 13 | 0.560 |
鋳鉄管(CIP) | 12.6 | 12 | 0.955 |
ダクタイル鋳鉄管(DIP) | 444.6 | 30 | 0.067 |
硬質ポリ塩化ビニル管(PVC) | 592.9 | 59 | 0.099 |
鋼管(SP) | 23.6 | 14 | 0.592 |
その他 | 23.2 | 5 | 0.216 |
ポリエチレン管(PE) | 126.3 | 1 | 0.008 |
参考資料
配水用ポリエチレンパイプシステム協会「東日本大震災における宮城県大崎市の管路被害状況調査」
http://politec.gr.jp/ad/wordpress/wp-content/uploads/2016/02/201364miyagi.pdf
熊本地震の管路被害
熊本地震では水道配水管の被害が多く見られましたが、ポリエチレン管は1件だけでした。被害が出た1件は継手が融着でないタイプの配水管で、継手が抜けて漏水を起こすという比較的軽微な被害でした。
管種 | 管路延長(km) | 被害箇所数 | 被害率 |
---|---|---|---|
鋳鉄管(CIP) | 90.1 | 36 | 0.400 |
ダクタイル鋳鉄管(DIP) | 2508.6 | 72 | 0.029 |
硬質ポリ塩化ビニル管(PVC) | 400.1 | 71 | 0.177 |
鋼管(SP) | 200.7 | 80 | 0.399 |
その他 | 62.0 | 3 | 0.048 |
ポリエチレン管(PE) | 152.8 | 1 | 0.007 |
参考資料
厚生労働省「平成28年(2016年)熊本地震水道施設被害等現地調査団報告書」
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/kenkou/suido/houkoku/suidou/dl/140421-1_07.pdf